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特集記事

完璧なスポットを見つける – ビーム角を絞り込む技術と科学

小売・建築用途における、より狭いスポットビームを実現するための光学・物理学・美学の役割を探る

 

長年にわたり、私たちのチームはお客様から「より狭い角度のスポットビームが欲しい」という数多くの要望をいただいてきました。サイズに制約がなければ、1度程度のビーム角を実現することは比較的容易ですが、大型の光源でより絞られたビームを作ることは大きな課題となります。さらに、狙い通りの狭角ビームを得るために大型の光学部品を用いることは、標準サイズや広角のビームレンジに最適化された製品では必ずしも実用的ではありません。また、業界では小型化のトレンドも強まっています。LEDiLは限界に挑戦する姿勢を大切にしていますが、最適解にたどり着くためには物理的な制約を理解することが重要です。

 

基本

照明工学において、FWHM(Full Width Half Maximum:全幅半値幅)および FWTM(Full Width Tenth Maximum:全幅1/10値幅)角度を理解することは、光学部品の性能を評価する上で不可欠です。FWHMはピーク値の半分の配光幅を示し、FWTMはピーク値の1/10の配光幅を示します。FWHMだけでは光の分布全体を正確に把握できないため、性能をより適切に理解するにはFWTMも必要となります。

 

The FWHM value alone is insufficient to evaluate the performance of an optical component.
 

例えば、上の図に示された2つのレンズは同じFWHM角を持っています。しかし、レンズA(灰色の線)はより高い光学強度(cd/lm)と、より集中したビームを示しており、それはFWTM値がより狭いことからも分かります。一方で、レンズB(青色の線)は相対的に強度が低く、中央ビーム領域の外に多くの光が分布するため、FWTM値は広くなります。したがって、光学部品を比較する際には、FWHMとFWTMの両方を考慮することが重要です。

 

物理学的な側面

多くの照明用途は15~24度の狭角ビームで対応可能であり、一般的な照明器具やLEDサイズはこの範囲に最適化されています。しかし、より特殊な用途では6~10度のさらに狭いビームが必要となる場合があります。例えば、天井の高い美術館では、15度のビームでは意図した範囲を越えて光が広がってしまうのに対し、8度のビームであれば効率を犠牲にしつつも、目的に適した照射が可能です。過去には狭角ビームの実現にハロゲンランプが使用されていましたが、現在ではより優れた代替手段が存在します。

レンズやリフレクターといった光学部品は、光を一定の方法で反射・屈折させることで機能します。理論的には点光源を対象とするコリメーターが最も効果的ですが、COBのようなLEDは一点から光を放射するのではなく、さまざまな角度から光を放射するため、狙った方向から逸れることがあります。この逸れの角度は、光学部品の精度やCOBのサイズによって影響を受けます。

極めて狭い逸れ角を実現するためには、従来のTIRレンズに代わりフレネルレンズを利用する方法があります。光源から離れた位置に配置されるフレネルレンズは、コリメーション精度を高め、光の漏れを低減します。下の3番目の図に示されているように、大きなLESを持つフレネルレンズは、小さなLESを持つTIRレンズと同等の逸れ角を実現できます。

 
Deviation angle_TIR_lens_big_LES

小型および大型LESサイズにおけるTIR光学系とフレネル光学系の逸れ角
 

物理的な限界に達した場合には、光学部品やLEDのサイズを調整することが可能です。光学部品を大きくする、あるいはLEDを小さくすることで、逸れ角を減らし、点光源に近い効果を得ることができます。光学部品のサイズを大きくできない場合は、ルーメン密度の高い小型LEDを使用する方法があります。狭角ビームはカンデラピークが高いため、超狭角ビームであれば広角ビームに比べ、少ない光束でも十分な光度を得ることが可能です。

場合によっては、複数の小型光源とレンズアレイを組み合わせることで、より高い精度を実現できる場合もあります。ただし、その場合は一般的なソリューションと比べて妥協が必要になることもあります。

 

美術館照明における、複数のLEILA-Y 光学部品を用いたトラックライトの例
 

美観

本記事で説明したように、スポットライトはすべて同じではありません。理論上のコリメーターはLEDの像をそのまま投影するため、色の均一性に問題が生じ、それをレンズで補正する必要があります。ビーム角も重要な要素であり、主ビームの外側に不要な光が漏れず、明確なカットオフを持つことが求められます。

多くの用途では、単にビームを狭くするだけでは十分ではなく、小売や建築照明のように、美的に優れた照射品質が不可欠です。そのため、レンズにおけるカラー・ミキシング機能は高品質照明において非常に重要な役割を果たします。カラー・ミキシング機能を備えたレンズは、美しく均一で最先端の照明を実現する一方、この機能を持たないレンズは、たとえ最も狭く光度の高いビームを生成できても、高品質なスポット照明用途としては不十分です。

 

カラー・ミキシング機能の有無によるスポットレンズの比較例
 

次世代フレネル

フレネルレンズは、長年にわたり高精度なコリメーション性能で評価されてきましたが、光学性能と美観を同時に両立させることは課題でした。従来の設計では色バラツキや視覚的な不均一さが生じやすく、精度と見た目の両方が求められる用途では使用が制限されていました。

LEDiLの新しい特許出願中のフレネルソリューション は、こうした制約を克服し、狭角ビームを維持しながら美観を大幅に向上させます。TIR光学系とは異なり、フレネルレンズは光源から離れた位置に配置されるため、コリメーション精度が高まり、光漏れを抑えることができます。この設計ではわずかな効率低下が生じる可能性はありますが、当社のアプローチにより、従来のTIR光学系と同等の光量をターゲットに届けつつ、より高精度な照射を実現しています。

 

LEDiLの新しい特許出願中のフレネルソリューション により、超狭角でありながら美しく均一なビームを実現できます。
 

超狭角(<5°)ビーム向けに設計されたこのソリューションは、レンズ効率よりもピークカンデラ(光強度)を優先し、要求の高い用途に適した鋭く高強度なビームを提供します。これらの進化により、以下が可能になります:

長距離照射 – 集光されたビームがより遠くまで届く。
ドラマチックなライティング効果 – 強いコントラストと明確なエッジを実現。
小物への精密照射 – 不要な光の漏れを最小限に抑え、ターゲットを正確に照らす。

これらの改善により、フレネル光学系は、正確なビーム制御と高品質な光分布の両方が求められる用途において強力なツールとなりました。

 

結論

スポットライトのビーム角を決定する上で、光源のサイズ(LESサイズ)と光学部品の選択は重要な要素です。小型の光源はより狭いビームを作り、コントラストを高め、ピークカンデラを強化して洗練された照明効果を生み出すことが多いです。一方、大型の光学部品もビームを集光するのに役立ちます。ただし、光源が大きい場合、より多くの光を生成できる反面、ターゲット外への光の漏れが生じ、全体的な光強度が低下する可能性があります。

ビームは、単一のトラックライト内に複数の単体レンズを使用することでさらに狭くすることが可能です。この場合、光源はレンズサイズに対して比較的小さくなります。

超狭角ビームでは、フレネルレンズが精密なコリメーションを提供し、光漏れを最小限に抑えます。ビームの焦点を維持し、コントラストを高め、美観を向上させる能力により、長距離照射やターゲットを絞った精密照明を必要とする用途に最適です。

 

サイズとLES構成の異なるスポット光学部品の特性比較
 

私たちのチームは、常にスポット照明ソリューションの革新と限界への挑戦に取り組んでいます。物理的な制約により実現が難しいご要望に直面することもありますが、お客様と協力しながら、代替案や妥協点を見つけてニーズに応えることを常に喜んで行っています。

 
 

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